なんとなく書店で手に取った本なんだけど、パラパラめくっているとどうもとても良い本の様な気がして、買って読んでみました。
結果、この本、ここしばらくで呼んだ犬関係の本の中でピカイチだと思う。
何より、犬と人、両方の立場にとってフェアであることを心掛けた態度が共感できます。
この本は咬みの問題に限らず、他の困っている問題に対しても色々とヒントになることが多いと思います。
我が家ではここ最近は無いですが、昔は何度かウィルさんの噛みがあり、ただその都度ウィル自身で今後は噛まないことを選択してきている気がする。
この本は最初に咬みを原因毎に三つに分類し、しつけで解決できるものとそうでないものに明確な線引きをしています。
次に、発生、発達の中でどのように器質的なベースが形成されるか。そして飼い主と環境との相互作用の中で、どのように問題となる行動を学習していくかという流れを分かり易く解説しています。
特に、飼い主の無意識的なフィードバックによる強化について例示して説明し、一方的に犬の側に非を押し付けない公平な態度は読んでいて納得できる。
また、ストレスが犬の脳にどの様な影響を与えるか、後天的な異常がどのようにして作られるかについても丁寧に解説しており、非常に参考になった。
かつ、ストレスレスばかりでも、共生していく上で結果的に人間側に過大な負担を押し付けることになるし、犬の側もストレスに弱くなってしまう。お互いに妥協し合える点をきちんとみつけましょうという主張も共感できる。
あと、犬の行動を変えるよりも飼い主自身の行動を変える方が簡単というスタンスも納得。
最後に安楽殺の話が出てくるが、決してそれを肯定している訳ではなく、犬の命を預かっているという覚悟を飼い主に対して求めていると感じた。
薬剤の使用についても、獣医学的な観点から納得できる理由が提示されている。
飼い主の側の変化と覚悟を要求する一方で、飼い主に全てを丸投げせず、専門家と二人三脚でという姿勢も正しいと思う。
一つ今回特になるほどと思った点は、選択肢を用意するということ。
これまでは咬んでいたシチュエーションで、別の選択肢を用意する。
咬まない選択肢を選択した場合には、正しい選択をしたことを褒める。
正しい選択をできたことを明確にすることで、犬も自分が正しい選択をしたことを知る。
正しい選択をしたという経験を重ねていくことで、それが犬の自信につながっていく。
犬が正しい選択をしたという経験を重ねることで、飼い主の方にも自信になっていく。
お互いに信頼関係を育んでいく。
脱感作と自信を育むプロセスを組み合わせることで、最終的に問題を克服する。
今まで、漠然と自信をつけるとか、自信が付いてきたとか、信頼と言ってきたけど、もう少し詳細にプロセスを分解するとそういうことだったのかも、と理解が深まった気がしました。
それから、選択肢を用意しても、実際に選択をするのは犬自身。
犬が自ら考えて選択する。
犬が自分で考える力を付けていくには、こうした積み重ねが大切だなぁと思った。
飼い主の側も、選択肢を用意するためには、自分を含めた環境を一歩引いて俯瞰する必要があり、客観視することができるようになる気がする。
この本が愛犬の咬みの問題で困っている飼い主の希望になると良いなと思いました。
(ウ:ボクは家族を噛んでも、結局何もいいこと無いって思うんだー)
そうだねー。
でも今、ちょっとプチストレス感じてる?
(ウ:うん、カメラは時々ストレスになるよ。)
まあまあ、ガマンガマン!あとでイイコトあるかもよ?
(ウ:!)